ほうじ茶から見えた、心の鎧。

日々のカケラたち

先日ちょっとした手術をした。
1週間ほどの入院を終え自宅に戻った。


入院中はただただ体力の回復に勤しんだ。


そして身も心も鎧を脱いだ。
まるで小さな子どものように。


起きたらベッドに横になり本を読む。
眠くなったら身体の欲求のまま寝て、
「お食事でーす!」の声でご飯を取りに行く。
提供されるほうじ茶を飲みながらまた本を読む。


あんなに昼間寝たはずなのに、
消灯22時にはすでに眠くなる。


定期的に診にきてくれる看護師さんと談笑し
術後の傷をケアしてもらったり
身体を拭いてもらう。
身も心も素直にゆだねる。


入院中のある日、
持参した大好きなコーヒーを淹れた。


ひとくち
ふたくち。


…残り全て捨ててしまった。


あんなに毎日コーヒー飲んでいたはずなのに。


刺激が強すぎたのだ。


それくらい、身も心も無防備になっていることを知った。


逆を言うと、
普段どれだけ外からの刺激に
無自覚に対応しているのだろう。


心の鎧を外した時、
こんなにも心は無防備なものかと知った。
人の心は、
こんなにもピュアなものなのかと。


そりゃあ傷つかないように
何重もの鎧を重ねて防御するよね。


それからはずっとほうじ茶を飲んでいた。
家に帰ってきてからも
ほうじ茶が飲みたくて探した。


そして、退院して1週間経った今、
私はコーヒーを飲みながらこれを書いている。


外からの刺激は避けられない。
しかもある程度の刺激がなければ
私は退屈してしまうだろう。


人によってその塩梅は違う。
自分にとっての心地よさを
その都度確認し調整しながら
日々過ごしていきたいと思う。